くまの足跡
ユーロ戦記「ウェールズの大合唱」
出られるだけで大満足だったユーロで、まさかの準決勝進出。幸せいっぱいのウェールズ人の大行進は、いつまで続くのやら。

7月6日、リヨン。ポルトガル vs ウェールズの準決勝を見にやってきた。
(リヨンは坂と階段の街だ)
スタジアムに向かうトラムはウェールズ人たちの歌声で充満していた。歌に合わせて壁や天井を叩きまくって、トラム、ひっくり返りそう。あぁ、世界でいちばん幸せな大暴れ。だれも予想していなかった奇跡の準決勝進出だ、トラムの壁が少々へこんでも許してあげてほしい。
と、そこで、なぜかリーベルプレートのユニを着た男を発見。
アルゼンチン、ブエノスアイレスから来たカルロスさん。筋金入りのリーベルサポで、去年12月のクラブW杯には大阪と横浜に馳せ参じたらしい。
FC ROJIがリーベルサポの追っかけをした話
で盛り上がっていると
ウェールズ人が割り込んできた。
「お、あんた、リーベルプレートか!」
「うん」
「ごめんな、俺はボカジュニアースのほうが好きなんだ」
「そっか」
「で、あんた、今日の試合はどっち応援するのさ」
カルロスさんはニヤリと笑って答えた。
「ウェールズだよ」
その瞬間。ウェールズ人たちは、吠えた。
「おお、そうかそうか」
「こいつ、ウェールズを応援してくれるってよ」
「俺、ボカなんて大嫌いだ」
「ボカ最悪!」
「マラドーナ最悪!」
みんな、口々にボカの悪口を言う。最高に嬉しそうな顔をして。
「リーベル最高!!」
***
試合はポルトガルが2−0で勝利。ウェールズの熱い熱い夏は終わった。サポーターたちは、試合終了の笛が吹かれてから10分以上、大合唱をやめなかった。
帰り道。飲み過ぎ、歌い過ぎで喉がつぶれたウェールズ人がしわしわの声で、でもとびきりの笑顔でポルトガルのサポに話しかけていた。「決勝、がんばれよー」。ふふふ、最後までいい味を出しているのであった。
(試合後、スタジアム内で盛り上がるポルトガル人サポーター)