サポーター図鑑

Hinchas
Jun.25.2017

ベトナム移民、全員集合!

Vietnamese in U-20 World Cup South Korea, 初の世界大会で大健闘を見せた初出場のベトナム。韓国に暮らす移民が集結して、スタジアムは真っ赤に染まりました。

ベトナム人

韓国で開催されたU-20ワールドカップは、ホスト国以外の試合は観客席がまったく埋まらず、閑古鳥が鳴いていました。しかし、ベトナムの試合だけは例外的に盛り上がっていました。

というのも韓国には出稼ぎベトナム人が13万人も暮らしていて、悲願の「ワールドカップ初出場」を果たした我がチームを応援しようと、国中からバスを連ねてスタジアムに馳せ参じたのです。スタジアムでは韓国人のスタッフが、「ベトナム人って、こんなにいるのね」と目を丸くしていました。

バスの車中でのど自慢大会

ベスト16進出がかかったホンジュラスとのグループリーグ最終戦を見物しようと全州に出かけると、街中でベトナム人ファンの一行に遭遇。彼らのチャーターバスに乗せてもらってスタジアムに向かうという、ちょっと貴重な体験をすることができました。

ベトナム人

のど自慢で盛り上がる車中。懐かしの祖国の民謡、歌謡曲を歌い、最後はみんなで国歌を歌いました。

ベトナム人

スタジアムに到着すると、祖国の料理、トウモロコシの混ぜご飯と魚肉ソーセージで腹ごしらえ。私もご馳走になりました。

ベトナム人

ごはんを食べ終わると、今度はスイカが出てきた。

「歴史的舞台」にいる高揚感

みんなと一緒にスイカを食べていると、「日本人ですか?」と日本語で若者に話しかけられました。聞くと岩手県の自動車工場で働いていたのだそう。日本在住5年、韓国ではまだ1年も経っていないそうで、日本語と三陸の新鮮な刺身を懐かしんでいました。

肝心の試合について尋ねると、「異国の地でベトナムの試合が見られるだけで幸せです。祖国に暮らす仲間たちも、ものすごく盛り上がっているみたいですよ」と嬉しそうに教えてくれました。

U-20といっても、ベトナム人にとってはこれが男女通じて初めてのワールドカップ。スタジアム周りでは、多くの人々が動画を撮りながら現地の様子を祖国の家族や友人に実況しています。その表情には「自分はいま、歴史的な舞台にいるんだ」という高揚感がにじみ出ていて、ちょっと羨ましくなりました。

ベトナム人

嬉しすぎて、ついつい走り回ってしまう。

ベトナム人

太鼓やシンバルが賑やかに打ち鳴らされるゴール裏。

ベトナム人

1万427人の観客中、1万人はベトナム人。二階席のファンは強い日差しを避けて日陰で応援していた。

ベトナム人

大声援の後押しを受けてベトナム奮闘。中米の強豪ホンジュラスを苦しめた。

ベトナム人

健闘実らず0-2の惜敗。試合後、ホンジュラス人とベトナム人が健闘を讃え合う、清々しいシーンも見られた。

0-0で引き分けたニュージーランドとの初戦に続き、ベトナムはまたしても大健闘を見せました。160cm台の小柄な選手が並ぶベトナムは、激しいタックル、果敢なドリブルで食らいつき、ホンジュラスを圧倒。しかし、悲願の初ゴール、初勝利はなりませんでした。終盤に逆襲から2点を献上。1分け2敗でワールドカップの舞台から去ることになったのです。

異国の地で肩を寄せ合い、ひっそりと暮らす移民たちが、堂々と祖国を誇る。これが国際大会のいいところかもしれません。「金星紅旗」のシャツを着て、祖国の言葉で歌い、叫び、悔しがる……。夢の舞台を存分に味わい、ベトナム人たちは大満足した様子で、いつもの日常に戻っていきました。

赤い妖精たちの消えた寂しいスタジアムで、セネガルとエクアドルの2試合目が始まりました。

 

 

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