路地を曲がればスタジアム
Stadiums
‟分断国家”の歴史的一戦
GSPスタジアム / GSP Stadium
Nicosia, Cyprus 地中海に浮かぶ小さな島国キプロス。この国のスタジアムには大音声の持ち主がたくさんいた。
2012年、小国キプロスの王者アポエル・ニコシアがチャンピオンズリーグ準々決勝に進出。「白い巨人」レアル・マドリーとの大一番を観に行きました。
歴史的な快進撃を見せたアポエルとレアルの一戦は、「史上最大の格差対決」と呼ばれ、クリスティアーノ・ロナウドの週給がアポエル全選手の年俸に匹敵すると報じられていました。試合はアポエルが善戦したものの、0-3と完敗。2試合合計2-8で準々決勝敗退となりましたが、その健闘は世界中から讃えられました。
ちなみに後日、同じスタジアムに2部リーグの試合を観に行くと、閑古鳥が鳴いていました。観衆は500人ほど。それでも一人ひとりの声の大きさには圧倒されました。キプロス人は声が大きいのです。
キプロスという国は、ギリシャ系住民が暮らす南とトルコ系住民が暮らす北のふたつに分かれた「分断国家」。冒頭の写真のように、南北を隔てる緩衝地帯「グリーンライン」には、国連平和維持軍の監視塔が建っています。
南と北とでは、民族、言葉、宗教、風習などがまったく違う。この不思議で複雑な島のことは、いつか「くまの足跡」に書こうと思います。